山羊

[種類]

ザーネン
トッゲンブルグ
アルパイン
ヌビアン

アンゴラ
カシミア


[餌]

山羊は多種多様の草木類、種実類、藁類、農場残滓類、農産加工粕類などを食べ、これらのほとんどがよい飼料となりますが、一種類にしない方がいいでしょう。


山羊は一種類の餌料にあきやすいので、できるだけ多くの種類を与えるほうがいいです。

一般に低水分のものを好み、高水分の青草類はあまり好みません。
青草類だけを給与すると糞が軟便になり、時には下痢を起こすこともあります。

広葉樹の新芽、若枝、樹皮なども好みます。
このため、半乾きのものか、乾草類を与え、山野の樹葉を時々補給するといいでしょう。

飼料は雨露に濡れないようにした方が望ましく、また、地面に落ちたり汚れた飼料は食べない習性があるので、飼槽は首の高さ以上とし、伸び上がって食べるようにした方が飼料の無駄が少なくなります。



※山羊に有毒な植物
アセビ、エニシダ、ドクニンジン、ドクゼリ、レンゲツツジ、トリカブト、ミソナオシ、シャクナゲ、ハナヒリノキ、キンポウゲ、トウゴマ、ネジキ、キョウチクトウ、ミツマタ、ナガハタバコ、マルハタバコ、ジギタリス、ヒナゲシ、イチイ、シキミ、ナンテン、ドクウツギ、タガラシ、ウマノスズクサ、ハシリドコロ、イケマ、レイジンソウ、ジャガイモの芽など




[飼い方]

山羊は寒さに強く、乾燥地を好みます。暑気、湿気は非常に嫌がります。
水分の排泄を著しく抑えることができるため、水分要求量が少ないです。

山羊は高所を好みます。
運動場の中央に高さ60~70cmの木製の高台やブロックの山などを設けるといいでしょう。

乳用山羊の場合は、搾乳枠台が必要です。



[ヤギがかかりやすい疾患・障害]

消化管寄生虫症(胃虫、条虫、腸結節虫、コクシジウムなど)、有毒植物の採食、下痢症、蹄病、鼓腸症、腰麻痺(脳脊髄糸状虫症)、乳房炎、肺炎などが挙げられます。
山羊は夏季の高温多湿に弱く、また乳用ヤギは(肉用在来種、雑種ヤギには発生しない)蚊の媒介で腰麻痺症にかかりやすいです。
また、特に子ヤギでは寄生虫による死亡率が高いので、寄生虫の健診と駆虫を定期的に行うとよいでしょう。

①鼓腸症
腹部の左側がふくらみ、呼吸困難に陥ります。
反芻ができなくなり、結膜の充血、呼吸速拍がみられ、放置すると窒息死します。
迅速に処置することが大変重要です。

②有毒植物の採食
元気がなくなり、反芻が停止し、口から泡を吹き出して緑色の塊を吐き出すことが多く、食欲も減退します。
まず毒物をできるだけ早く排出させるため、吐剤、下剤、利尿剤、強肝剤などを投与します。卵白、牛乳、ヤギ乳、灰汁などを飲ませると効果があるという説もあります。

③腰麻痺
主に後躯の麻痺を伴う運動の異常で、歩き方が不安定となります。
症状は様々で、起立困難、前肢のみが突ける、斜頚、起立不能などです。
牛に寄生する糸状虫の子虫が蚊の媒介でヤギに寄生し、脳脊髄に侵入することで起こります。
予防法は、蚊の侵入を防ぐこと、15~20日間隔でアンチモン剤やピペラジン剤の注射をすること。発症後は同様の薬剤を与え、安静にする。

④内部寄生虫症
症状は晩秋~冬に現れ、貧血、栄養障害を伴い、特に子ヤギの死亡率が高い。
それぞれの寄生虫に応じた駆虫剤を投与して、年二回は定期的に駆虫する必要があります。

⑤腸結節虫
ヤギの寄生虫症のうち被害が最も大きい。
腸粘膜に侵入するため下痢を起こし、食欲不振、重症例では貧血となり死亡します。
治療には駆虫が必要です。

⑥コクシジウム
子ヤギに多数発生すると下痢を起こし、発育停滞、衰弱、死亡などが起こります。
ヤギを完全隔離し、駆虫する必要があります。

⑦下痢症
食欲がなくなり、反芻が緩やかになります。便は流動水様便、泥状便など様々です。重症になると糞に粘液や血液が混じることもある。長期化すると体力減退し死にいたることもあります。特に子ヤギは要注意です。
飼料の急変、変敗飼料、過食、有毒植物、腸内寄生虫、高温多湿などが原因となります。
治療には、まず原因を確かめなければなりません。
胃腸障害の場合には飼料を減らし、胃腸薬、下痢止め、木炭末を与える。症状によっては、1~2日の絶食を行う。寄生虫による場合は、獣医師の指導により適切な駆虫剤を投与します。

⑧肺炎
鼻汁を出し、短い咳を頻繁にして、目やにが出ます。高熱、食欲不振により、次第に衰弱します。細菌性のものが多く、子ヤギ、分娩直後の母ヤギ、老ヤギに多発します。
ヤギをよく保温し、栄養のある飼料を充分に与え、体力の回復に努め、。重症の場合には抗生物質により治療する必要があります。

⑨乳房炎
乳房組織に炎症を生じ、腫れて体温も上昇します。特に乳用ザーネン種に多いです。
不潔な搾乳、乳房の外傷、生理的ストレスなどにより発生します。
初期には濃厚飼料を中止し、頻繁に搾乳し、乳汁の貯留を防ぎ、また冷湿布を行います。重症の場合は抗生物質を投与します。

⑩蹄病
不潔で湿った環境、ヤギの全身状態の悪化などにより発生します。予防としては定期的な削蹄、消毒薬による脚浴、環境の乾燥などが重要です。
感染ヤギは隔離し、蹄病のヤギがいた牧場の利用を一時的に中止しなければなりません。