イラスト 松沢 由樹子
ウサギ目(重歯目) ウサギ科
ペットとして飼われている多くは、カイウサギ(イエウサギ)という種類で、ヨーロッパアナウサギが祖先と言われています。
[種類]
ノウサギ : アナウサギよりも耳が大きく、前足が長い。穴は掘らずに地上に巣を作ります。生まれた時にはすでに被毛があり、眼も開いています。
アナウサギ : 土を掘って巣を作って生活します。生まれた時にはまだ被毛がなく、眼も開いていません。
ジャパニーズ・ホワイト(日本白色種)
短い白い毛と赤い目が特徴。丈夫で飼いやすい。
日本で飼われているウサギは、この種類との交雑が多い。体重
: 4~5 kg
ダッチ
白と黒や茶色の色分けがパンダの様な模様が特徴。パンダウサギとも呼ばれる。
体重 : 2 kg くらい
ドワーフ(ミニウサギ)
・ネザーランド・ドワーフ
ダッチを改良して小型にしたもの。ピーターラビットのモデルとも言われる。
体重 : 1~1.5 kg 体長 : 30 cm くらい
・テウト・ドワーフ
ドイツのテウトという会社で繁殖され血統書付きで売られており、手に入りにくく高価。
雑種
ミニウサギとして売られているものの中に、ジャパニーズ・ホワイトとドワーフの雑種のものがいます。一般に純血種よりも雑種の方が丈夫で飼いやすいといわれています。
ロップイヤー
長く垂れ下がった耳が特徴。 体重 : 4 kg
[生態]
臆病でデリケート、ストレスにも比較的弱い動物です。
夜行性 : 昼間よりも夜、活発に活動します。
暑さと湿気に弱いので、飼育箱の場所や管理には注意しましょう。
歯が永久的に伸び続けます。通常の生活では伸び過ぎることはありませんが、
餌に硬いものを加えたり、かじることのできる木片なども用意して伸びすぎを防ぎましょう。
自分のフンを食べて栄養をとります(盲腸便栄養)。ウサギの糞には、丸いコロコロのものと軟らかいものとがあります。
食べるのは軟らかいフン(盲腸便)で、ビタミンB12やタンパク質が含まれ、大切な栄養補給になっています。
寿命 : 7~8年(10~15年)
体温 : 39.5 ℃
妊娠期間 : 31~32日 出産数 : 1~12羽
[餌]
ウサギは完全な草食動物で、高線維質、低カロリーである牧草や乾草を常に用意していなければなりません。
牧草・乾草 : アルファルファ、チモシー
野菜 : キャベツ、小松菜、大根菜、ニンジン、イモ
野草 : クローバー、タンポポ、ハコベ
ウサギ専用ペレット : 1日に体重の5%(センイが多いものではもう少し増量可)
水 : 1日に体重の10%(200~300
ml)
※与えてはいけないもの
タマネギ、長ネギ、ニンニク、ニラ、チョコレート、コーヒー。
ピーナッツ、トウモロコシ(これらに生えるカビの毒(アフラトキシン)にウサギはとても弱い)
過度のカルシウム添加(尿中で結石になる危険性があります)
☆授乳中、離乳期、離乳後の食餌
母ウサギには妊娠中から多彩で栄養価そしてカルシウムとビタミンの含有の高いものを与えることが必要です。そして大量の母乳を分泌しなくてはならないので多くの水分を必要とします。
ペレットを主食としている場合は特に出産から離乳までは水を切らさないようにします。
☆新生仔の食餌
生後4週目ぐらいまでは母ウサギの母乳だけで十分です。以降は離乳期に入ります。
生後6~8週目ごろまでは母ウサギと一緒に飼育しましょう。
そして、少量ずつ母ウサギと一緒に食事を食べているようなら心配はいりません。
食べにくいようなら、やわらかい野菜やふやかしたペレットを砕いて与えましょう。
[飼い方]
ウサギは野生では集団で生活する動物ですが、縄張りを持つため1羽ずつ飼うのが理想です。1羽以上で飼う場合は1羽当たりの面積を十分にして、ケンカやケガのないように注意しましょう。
(アメリカ .NIHが示した実験動物飼育のための推奨最小スペース)
理想のケージの面積 体重 床面積(m2/頭) 高さ(cm) 2 kg未満 0.14 35.56 2~4 kg 0.28 35.56 4~5.4 kg 0.37 35.56 5.4 kg以上 0.46 35.56
ウサギはとても湿気を嫌います。飼育箱の床は水ハケをよくする工夫をし、病気を防ぎましょう。
「ウサギは水を与えなくてもよい」といわれることがありますが、実際には「湿気を嫌う」という意味で、いつも新鮮な水が飲めるようにしましょう。
ウサギは後ろ足の力がとても強い動物です。持ち方によっては、首や背中の骨を傷つけてしまうことがあります。耳をつかんで持ち上げたり、背中を押さえつけたりしないように注意しましょう。
胸を抑えないように注意してください。ウサギは常に呼吸がいっぱいいっぱいなので、おさえるととても苦しいのです。
[オスとメスの見分け方]
指でお尻のところを開いてみると、
オス…尿の出口が丸い
メ ス…尿の出口が縦に裂け目のようになっている
オス メス
[気をつけよう] こんな様子が見られたら、早めに治療を受けましょう!
①食欲がない。フンをしない。
②毛がよく抜ける。
③爪の伸びすぎ。歯の伸びすぎ。
④尿が赤い(ただし正常なときもあります)。
⑤母ウサギが子ウサギを食べてしまう。子育てをしない。
⑥腹部が膨らんでいる。
⑦足を引きずる。
⑧首が曲がっている。
⑨目ヤニ、耳垢が多い、痒がる、赤くなっている。
⑩フンが軟らかい。
⑪歯ぎしり、よだれ
[ウサギに多い病気]
①コクシジウム症 : 下痢。
コクシジウム原虫という単細胞生物が腸や肝臓に寄生する病気です。
フンからうつるので飼育箱の床を金網やスノコにすることでかなり防ぐことが出来ます。
梅雨~夏にかけて多く、死亡率も高い。
②スナッフル症 : 咳、黄色い鼻汁、呼吸困難。
主に、パスツレラ菌という細菌の感染による呼吸器の病気です。ウサギによくみられる伝染病です。
③耳カイセン症 : 耳をかゆがる。
ウサギキュウセンヒゼンダニというダニによる耳の病気です。
外耳の内側がかぶれ、かさぶたでおおわれ、かゆがります。
④毛球症 : フンが出ない。
毛づくろいや巣作りの時に自分の抜け毛を飲みこみ、胃や腸に毛がたまって、つまる病気です。
予防としては、繊維の多い粗飼料を与えたり新鮮緑黄食野菜を与えて食欲を進ませてやります。
また、一般的にパイナップルの果汁に含まれる酵素で毛を溶かすことができるといわれていますが、胃内では毛を溶かせるかどうかは疑問視されています。すぐに動物病院で診てもらいましょう。
⑤日射病、熱射病 : 呼吸が速い。ぐったりしている。
ウサギは比較的暑さに弱い動物です。長時間ひなたに置いたりすると暑さのために体温が上がり、呼吸が速くなったり、ぐったりすることがあります。
などなど、これらのほかにもいろんな病気があります。
心配なことがあるときは動物病院に相談してみましょう。