イラスト 松沢 由紀子
げっ歯目 テンジクネズミ科
南米のペルー原産で、テンジクネズミをペットにしたもので、3000年以上前から肉を取るためにインディアンたちに飼われていたと言われています。モルモットという名は、アルプスマーモットという動物に似ていたのでつけられました。英語では、“ギニア・ピッグ(ギニアの豚)”といわれており、これは体型が豚に似ていることと、アフリカ経由でヨーロッパに渡ったために誤って“ギニア”とつけられたのではないかといわれています。
[種類]
イングリッシュ種
毛はなめらかで短く(3~4 cm)、直毛です。
アビシニアン種
短毛ですが毛は硬く、渦を巻いています。色は様々です。
ペルピアン種
パリで作られ絹のようにやわらかな毛で、巻き毛もいます。
12 cm以上の毛のものもいて、アンゴラ種と呼ばれます。
同じ種類のモルモットでも白、黒、茶色やクリーム色など様々な色のものがいます。
模様も帯やアーチ型、ブチ、三毛など様々です。また、毛の種類もいろいろあります。
サテン毛 : 柔らかくツヤツヤの毛。
レックス : 毛が短く、ベルベットのような手触り。
クレスト : 頭の上だけが巻き毛。
シェルティ : 顔以外のところに長く硬い毛が生えている。
[性質]
とても臆病でデリケートな動物なので、大きな音を怖がったり、テレビの音を気にしたりするので、できるだけ静かな場所に置いてあげましょう。
性格はおとなしく動作もゆったりしています。
人にもよく慣れ、噛み付くことも殆どなく飼いやすい動物です。
野生では群れで生活しているので、何頭か一緒に飼っても大丈夫です。
よく鳴き声をあげて自分の感情をあらわし、モルモット同士もこの声でコミュニケーションしているといわれています。
甘えるとき : “ミューミュー”
怒っているとき : “キーキー”と鳴いて毛を逆立てて、口を開けて前歯を見せます。
野生では夜行性ですが、飼われているものは人間の生活に合わせて、あまりはっきりとした区別はなく、昼間も活動するようです。
寿命 : 5~15年(平均10年)
体重 : オス…900~1200 g 、メス…700~900
g
体長 : 20~30 cm
体温 : 37.5~39.5 ℃
妊娠期間 : 60~70日 出産数 : 2~4 頭
モルモットの赤ちゃんは、生まれた時には毛も、歯も生え、目も開いています。何日かすると、野菜や果物などお母さんと同じ物を食べ始めますが、特に子供用の餌をやる必要はありません。5週間ほどで親と離しても大丈夫です。2ヶ月くらいで大人になります。
[餌]
モルモットは基本的に草食性です。
モルモット用ペレットを中心に、草や野菜、果物をあげましょう。
餌はため込まないので、1日に朝夕2回決まった時間に与えるようにしましょう。
モルモットは、人間と同じで体の中でビタミンCが作れません。
ビタミンCをたくさん含んでいる野菜や果物を毎日あげるようにします。
ドライペレット(モルモットの餌) : 1日20~30
g くらい
ハムスターやウサギ用のものではなく、ビタミンCの含まれているモルモット用のものを与えましょう。
野草 : タンポポ、ナズナ、クローバー、ハコベなど。
野菜 : ニンジン、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ、キャベツ、トマト、小松菜など。
果物 : リンゴ、ミカン、バナナ、ブドウ、イチゴなど。
その他 : 煮干し、ゆで卵、チーズ(無塩のものが好ましい)、ヨーグルト、豆腐、牛乳など。
水 : いつも新鮮な水を飲めるようにしましょう。
※与えてはいけないもの
ネギ、ニンニク、ニラ、アボカド、チョコレート、コーヒー
中毒を起こすことがあるので、あげてはいけません。
また、人間の食べ物もあげない様にしましょう。
[飼い方]…ケージ飼いでも、小屋飼いでも良い
必要なもの
ケージ : 金属製のケージ(モルモットは高いところに上れないので、高さよりも床の広いものがよい)
小屋飼い : 小屋は丈夫な木でできたものがよいでしょう。隠れたり眠ったりできる寝床を作ってあげましょう。木などは鋭い歯でかじってしまうので丈夫なものを用意します。床に金網のついているものは、足を引っ掛けてケガをしやすいので外しておきます。
巣箱 : ハムスター用、小鳥用、ティッシュペパーの箱など。
十分な広さのもので、中に巣材(ティッシュペーパー、わらなど)を入れてあげましょう。
小枝、木片 : 歯を削るために置き、歯の伸び過ぎを防ぎます。
トイレ : 浅めの箱に、猫用の砂や新聞紙を細かく切ったものを入れたものを用意します。
モルモットはトイレのしつけは難しいといわれているので、無理に置かなくてもよいでしょう。
餌入れ、給水器
[オスとメスの見分け方]
生殖器のひだが
オス…スリット状になっている。また、大人になると睾丸が触れます。
メ ス…Yの字型に見える。
オス メス
[気をつけよう]…こんな様子が見られたら、早めに治療を受けましょう!
①食欲がない。フンをしない。
②毛がよく抜ける。毛が薄い。はげた。
③爪の伸びすぎ。歯の伸びすぎ。
④腹部が膨らんでいる。
⑤目ヤニ、耳垢が多い、痒がる、赤くなっている。
⑥フンが軟らかい。下痢。お尻が汚れている。
⑦お腹や手足、背中などの部分的な腫れ、イボ。
[モルモットに多い病気]
①歯の伸びすぎ(過長歯)
モルモットの前歯は上下2本ずつあり、一生伸び続けます。伸び過ぎると上手く餌が食べられなくなってしまいます。木片や硬い物を与えて伸び過ぎを予防します。また、生まれつき歯のかみ合わせが悪くて、うまく削れずに曲がって伸びてしまうモルモットもいます。歯が伸びてしまう場合には、定期的に歯を切る必要があります。
②下痢 : バクテリア、寄生虫、コクシジウムによるものがあります。
衛生管理が悪い場合に起こりやすくなります。普段から掃除をこまめにして衛生的にしましょう。
③皮膚病 : ノミやダニなどの外部寄生虫、細菌によるものがあります。
床材や巣材の汚れが原因となることがあります。また、うつることがあるので密飼いの場合は特に注意が必要です。
④ビタミンC欠乏症 : モルモットは体内でビタミンCを作ることができません。
そのため、餌に含まれるビタミンC不足すると病気になってしまいます。体重が減少して元気がなくなり、手足の関節がはれて痛がります。そのまま放っておくとぐったりして歩けなくなり、2~3週間で死んでしまいます。軽症であれば、ビタミン剤を与えることで治りますが症状が出始めるのは不足し始めてからだいぶたってからのことが多いようです。日頃から、ビタミンCを十分に含む野菜や果物を与えて予防しましょう。